2006年4月16日日曜日

Le Monde : ローマ帝国国民の平均年収はいくらだったか?


ルモンドには時々こういった面白い記事が掲載され る:

Le Monde.fr : Le déclin européen, en perspective longue: "Un habitant de l'empire romain disposait de 540 dollars de revenu annuel, en moyenne. Par comparaison, le revenu d'un Français en 1688 était de 900 dollars et en 2003 de 22 000 dollars. Nous sommes donc, aujourd'hui, quarante fois plus riches qu'il y a deux millénaires. Vous saviez ça ?"
ローマ時代の一人あたり平均年収(一人あたりGDP)は現在価値に換算すると540ドルだった。2003年のフランスの一人あたりGDPは2万2千ドル (1688年は900ドル)。へ〜。

この記事のいいところは、更に これからこんなことが言えると、いろいろ書いてあること。さわりだけ抜粋:
  1. これはイギリスの歴史経済学者アンガス・マディソン氏の推計によるもの。彼は元OECDのエコノミスト。
  2. ローマ人は帝国を建設したけれど、科学技術は異民族に比べたいしたことはなかったし、栄養状態も異民族より逆に悪 かった。しかし組織力があった。異民族に対しては力と友好を使い分けるプラグマティズムもあった。
  3. ローマ帝国制度はギリシャやエジプトなどの先進国よりも、スペインやゴールなどの後進地域にとってメリットがあっ た。社会資本の整備や技術導入が出来た。これはナポレオン帝国においても、中国においても同じことだった。キャッチアップ効果。後進地帯は常に世界帝国に 加入することで利益を受ける。戦後の日本のように。
  4. この後進地帯のキャッチアップは先進地帯の没落を意味するものではない。
  5. 一番悪いのはナショナリズム。鎖国をしてどうしようもなく遅れてしまった中国を見よ。
  6. フランスの場合、1500年から1820年にかけての経済発展が著しかった。これはヨーロッパの経済発展は産業革命 以降だとする伝統的な考え方が間違っていることを示すもの。経済発展は(産業革命ではなく)商人資本主義が引き起こすものである。
  7. 将来に悲観的になることはない。もっともよくないのは経済発展をグローバルなゼロサム関係として捉えることだ。
  8. 一人一人の兵隊は弱いローマ軍も、柔軟性があったことで、強かったギリシャの密集歩兵集団を打ち負かしたことを忘れ てはいけない。

そうか、あの輝かしいローマ時代に比べても、現代は格段に豊かになってい るのだ。もっと楽観的になろう。同感。

Posted: Sun - April 16, 2006 at 07:02 PM   Letter from Yochomachi   Le Monde(ルモンド抄訳)   Previous   Next   Comments

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